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【令和7年度】長時間労働の監督指導結果を解説|違法な時間外労働は38.5%、食品・外食企業が外国人材の労務管理で押さえる対策
繁忙期の残業、シフトの穴埋め、休憩時間中の仕込み。食品製造や外食の現場では、長時間労働が起こりやすい事情が重なります。人手不足を補うために外国人材を受け入れた結果、「日本人と同じ感覚で残業をお願いしていたが、法的に問題ないのか」と不安を感じる経営者・採用担当者も少なくありません。
2026年9月15日、厚生労働省は令和7年度(2025年4月〜2026年3月)に実施した、長時間労働が疑われる事業場への監督指導結果を公表しました。
この記事では、公表内容のポイントと、食品・外食・農林水産業で特定技能外国人を雇用する企業が今すぐ見直すべき労務管理のチェックポイントを解説します。
この記事でわかること
- 令和7年度の監督指導結果の数字と、前年度からの変化
- 違反が多かった項目(時間外労働・賃金不払残業・健康障害防止措置)
- 外国人材を雇用する企業が押さえるべき労務管理の要点
- 今日から始められる勤怠管理・36協定の見直し手順
1. 令和7年度の監督指導結果|ポイントを整理
監督指導の対象は「長時間労働が疑われる事業場」
今回の監督指導は、無作為に選ばれた事業場ではありません。次のような長時間労働が疑われる事業場が対象です。
- 各種情報から、時間外・休日労働が月80時間を超えていると考えられる事業場
- 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場 など
つまり、数字は「一般的な企業の平均」より厳しめに出ている点には注意が必要です。それでも、監督署が何を重点的に見ているかを知る上で、実務上とても参考になる資料です。
主な結果(令和7年4月〜令和8年3月)
| 項目 | 事業場数 | 割合 |
|---|---|---|
| 監督指導を実施した事業場 | 29,150 | ― |
| 労働基準関係法令違反があった事業場 | 22,882 | 78.5% |
| 違法な時間外労働があったもの | 11,228 | 38.5% |
| 賃金不払残業があったもの | 1,901 | 6.5% |
| 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの | 5,919 | 20.3% |
※割合は監督指導実施事業場数に対する割合。出典:厚生労働省報道発表資料(令和8年9月15日)
対象の約8割で何らかの労働基準関係法令違反が認められ、約4割で違法な時間外労働が確認されました。
時間外・休日労働が「最も長い人」の実績
違法な時間外労働があった11,228事業場のうち、最も長く働いた労働者の実績は次のとおりです。
| 月間の時間外・休日労働 | 事業場数 | 割合(違法な時間外労働があったもの中) |
|---|---|---|
| 80時間超 | 4,991 | 44.5% |
| 100時間超 | 2,842 | 25.3% |
| 150時間超 | 554 | 4.9% |
| 200時間超 | 111 | 1.0% |
月200時間を超える事業場も111か所ありました。過労死ラインとされる月80時間を超える事例が、違法な時間外労働のあった事業場の半数近くを占めています。
2. 前年度(令和6年度)との比較
厚労省の資料では、令和6年度の結果も参考として示されています。主な指標を比べると、次のとおりです。
| 項目 | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|
| 監督指導実施事業場 | 26,512 | 29,150 |
| 法令違反があった事業場(割合) | 21,495(81.1%) | 22,882(78.5%) |
| 違法な時間外労働があったもの(割合) | 11,230(42.4%) | 11,228(38.5%) |
| 賃金不払残業があったもの(割合) | 2,118(8.0%) | 1,901(6.5%) |
| 健康障害防止措置が未実施のもの(割合) | 5,691(21.5%) | 5,919(20.3%) |
違反率はやや低下していますが、**違法な時間外労働があった事業場数そのものは、ほぼ横ばい(11,230→11,228)**です。監督指導の件数が増えたことで割合が下がっている面もあり、「改善が進んだ」と楽観できる状況ではありません。
なお、厚労省は今後も是正に向けた取組を積極的に行い、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしています。11月を前に、自社の勤怠管理を点検しておく好機です。
3. 指摘が多かったのは「勤怠の把握」|労働時間管理の実態
今回の資料で見逃せないのが、労働時間の把握方法の実態です。
労働時間の管理方法(複数計上あり)
| 管理方法 | 事業場数 |
|---|---|
| タイムカードを基礎に確認 | 10,498 |
| 自己申告制 | 6,517 |
| ICカード・IDカードを基礎に確認 | 6,237 |
| 使用者が自ら現認 | 2,201 |
| PCの使用時間記録を基礎に確認 | 1,071 |
※部署ごとに管理方法が異なる場合は複数計上されています。
このうち自己申告制を採用している事業場は6,517か所にのぼります。自己申告制は、記録の実態と乖離しやすい方法です。
労働時間の把握が不適正で指導を受けたのは4,045事業場(13.9%)
厚労省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、自己申告で把握する場合に次の対応を求めています。
- 労働者と、労働時間を管理する者の双方に、自己申告制の適正な運用について十分に説明すること
- 自己申告の時間と、入退場記録やパソコンの使用時間などとの間に著しい乖離がある場合は、実態調査を行い、労働時間を補正すること
- 申告できる時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置をとらないこと。慣習的な過少申告がないかも確認すること
監督指導で挙がった事例から学べること
公表された事例には、食品・外食業界にも通じる示唆があります。
- 事例(建設業): 36協定の上限を超える時間外労働に加え、休憩時間中の労働が把握されていなかった。人員を拡充し、スマートフォンで打刻できるシステムを導入。あとどれだけ残業すると36協定の上限に達するかを、現場で日々点検できるようにしたところ、約3か月で違反が解消した。
- 事例(ソフトウェア業): 勤怠システムの入退室時間が後から修正できる仕様で、実際の労働時間が把握されていなかった。システムを改修し、非効率な業務を洗い出した。
- 事例(その他の事業): 始業・終業時刻の記録とPC使用記録に1時間以上の乖離があった。遡って実態調査を行った結果、月199時間の時間外・休日労働と、割増賃金の不足が判明し、遡及して支払うよう是正勧告を受けた。
「記録と実態のズレ」は、後から遡って賃金を支払う事態につながります。 外国人材の場合も同様で、後述のとおり、ズレが在留管理上のリスクにも波及し得ます。
4. 食品・外食・農林水産業で特に注意したいポイント
時間外労働の上限規制(おさらい)
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり特別条項付き36協定を結ぶ場合でも、次の上限があります(資料の記載に基づく)。
- 年720時間以内
- 単月100時間未満(休日労働を含む)
- 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
- 月45時間を超えられるのは年6か月まで
「砂糖製造業」の特例が終了している点にも注意
食品関連では、鹿児島県・沖縄県における砂糖製造業も、厚労省の資料上、上限規制がすべて適用される業種として整理されています。建設業・自動車運転・医師とあわせ、2024年4月から上限規制の猶予・特例の見直しが進んでいます。該当する事業者は、自社に適用される内容を必ず確認してください。
食品・外食の現場で起こりやすい「隠れ残業」
厚労省が示した事例の構造を、食品・外食の現場に置き換えると、次のような場面が該当し得ます。
- 開店前の仕込み・清掃を「準備時間」として打刻の外で行っている
- 休憩時間中に、電話対応や配膳・搬入対応をしている
- 閉店後の片付け・締め作業、衛生管理の記録作成が打刻後に行われている
- 繁忙期の休日出勤が36協定の枠内に収まっているか、集計されていない
これらが労働時間に当たるかどうかは、使用者の指揮命令下に置かれているかという客観的な基準で判断されます。契約書や就業規則の書き方で決まるものではありません。
5. 外国人材を雇用する企業が押さえるべき労務管理の要点
特定技能外国人にも、日本人と同様に労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令が適用されます。在留資格があることは、長時間労働や割増賃金の未払いが許される理由にはなりません。
外国人材の受入れで確認したい実務ポイント
| 確認項目 | 実務上のポイント |
|---|---|
| 36協定の締結・届出 | 時間外・休日労働をさせる前に、労使協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る。特別条項の上限も確認する |
| 勤怠記録の客観性 | タイムカード、ICカード、勤怠アプリ等で始業・終業時刻を記録する。修正履歴が残る仕組みにする |
| 割増賃金の支払い | 時間外・休日・深夜の割増賃金を、正確な労働時間に基づいて支払う |
| 労働条件の明示 | 労働条件通知書を交付する。2024年4月の改正で、就業場所・業務の変更の範囲などの明示事項が追加されている |
| 本人が理解できる説明 | 就業規則や労働条件、残業の扱い、打刻ルールを、本人が理解できる言語・方法で説明する |
| 健康管理 | 長時間労働者への医師による面接指導、健康診断、ストレスチェックの運用を確認する |
労務トラブルが「採用の継続」に影響し得る理由
外国人材の受入れでは、労働法令違反が一定の場合に、受入れ機関としての適格性や、今後の受入れ手続きに影響し得ます。労務管理は、採用活動と切り離せない経営課題です。具体的な取扱いは、出入国在留管理庁などの最新情報や、専門家への確認を前提にしてください。
育成就労制度への移行(2027年4月)を見据えて
技能実習に代わる育成就労制度は、2027年4月の施行が予定されています。制度が変わっても、労働時間管理や賃金支払いなど、労働基準関係法令の遵守が前提であることに変わりはありません。今のうちに勤怠管理と労務体制を整えておくことが、制度移行後の受入れ準備にも直結します。
6. 今日から始める「長時間労働対策」5ステップ
- 実態把握: 直近3か月の勤怠データから、月45時間・80時間を超えた従業員がいないかを確認する
- 記録の見直し: 自己申告制の場合は、入退室記録やPC・レジ・機器の稼働ログとの乖離をチェックする
- 36協定の確認: 協定の有効期間、特別条項の内容、届出の有無を確認する
- 業務の見直し: 仕込み・清掃・締め作業の効率化や、シフト調整、人員の確保を検討する
- 相談窓口の整備: 外国人材が残業や賃金について、母国語や、分かりやすい日本語で相談できる体制をつくる
活用したい公的支援
厚労省の資料では、労働時間の短縮や年休促進に取り組む中小企業を支援する「働き方改革推進支援助成金」(労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、業種別課題対応コース)が紹介されています。助成内容や要件は年度ごとに改定されるため、申請前に、管轄の都道府県労働局や厚労省の最新の案内を確認してください。

まとめ:即戦力外国人材の採用と定着なら「スキルディッシュ」がおすすめ
令和7年度の監督指導では、長時間労働が疑われる事業場の約8割で法令違反があり、約4割で違法な時間外労働が確認されました。勤怠の把握が不適正とされた事業場も約14%にのぼり、「記録と実態のズレ」が大きな課題であることが分かります。11月の過重労働解消キャンペーンでは、重点的な監督指導も予定されています。
食品・外食・農林水産業で外国人材を受け入れる企業にとって、労務管理は「人が定着するかどうか」を左右する土台です。36協定、勤怠管理、割増賃金、労働条件の説明を整えておくことが、トラブルの予防と、育成就労制度への移行準備の両方につながります。
とはいえ、現場の運営をしながら、制度対応・労務管理・採用を自社だけで進めるのは容易ではありません。そこで、食品業界に特化した外国人材の総合支援サービス「スキルディッシュ」をご検討ください。
💡 スキルディッシュをおすすめする3つの理由
- 現場理解・日本語能力を備えた「特定技能」即戦力人材が充実
食品・外食などの現場で必要な基礎知識と日本語力を備えた人材を紹介します。配属後のミスマッチを減らし、早期に戦力化しやすくなります。 - 食品・外食・農林水産などの業界特有の労務・現場条件に精通
繁閑差、早朝・深夜のシフト、仕込みや締め作業など、業界特有の勤務実態を踏まえた労務面の相談ができます。 - ビザ申請・行政手続きから採用後の定着フォローまでワンストップ支援
在留資格の申請や各種手続き、入社後のフォローまで一括して支援するため、担当者の負担を抑えながら、安心して受入れを進められます。
「今後の採用計画に、特定技能をどう組み込むべきか」「育成就労制度への移行に向けて、何から準備すべきか」といった疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の現場の実情に合わせた、採用から定着までの具体的なプランをご提案します。
【出典・確認日】
- 厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導結果を公表します」(令和8年9月15日報道発表)https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001748780.pdf
- 本記事の内容は2026年9月29日時点の情報に基づきます。制度・助成金は改定される場合があるため、最新情報は厚生労働省・出入国在留管理庁等の公式サイトでご確認ください。

