農業分野の外国人雇用の基礎知識|技能実習・特定技能・育成就労の違いと、採用・定着のポイント

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「人手不足が続いていて、外国人材の受け入れを考え始めた」「技能実習と特定技能の違いがよく分からない」「2027年に始まる育成就労制度で何が変わるのか知りたい」。農業・畜産をはじめ、食品や外食の原料を支える一次産業の現場では、こうした声が増えています。

農業分野では2025年に、特定技能の人数が初めて技能実習を上回りました。外国人材の受け入れは、制度の選び方も、採用後の定着策も大きな転換期にあります。

この記事では、農林中金総合研究所の研究員による解説(アグリポート掲載)をもとに、次の内容を整理します。

  • 農業分野で働く外国人の主な在留資格と、その違い
  • 特定技能を取得する2つのルート(技能実習ルート・試験ルート)
  • 農業分野で認められる特定技能外国人の「派遣」
  • 2027年4月開始予定の育成就労制度の変更点
  • 初めて雇用する際の準備と、長く働いてもらうための考え方

※制度は改正・運用変更が行われる可能性があります。最新の情報は、出入国在留管理庁・厚生労働省・農林水産省などの公的発表で必ずご確認ください。


 

目次

1. 農業分野で働く外国人の代表的な在留資格は「技能実習」と「特定技能」

日本で働く外国人は、それぞれ在留資格を持っており、資格ごとに従事できる業務の範囲が決まっています。農業分野で代表的なのは「技能実習」と「特定技能」の2つです。

2025年に特定技能が技能実習を初めて上回った

出入国在留管理庁や法務省の統計をもとにした農中総研の整理によると、2025年末時点の全国の農業分野の状況は次のとおりです。

在留資格人数(2025年末)
技能実習28,798人
特定技能1号37,952人

特定技能の人数が技能実習を上回ったのは、これが初めてです。

技能実習と特定技能は「目的」が異なる

2つの制度は、目的も受け入れ側の負担も大きく異なります。

比較項目技能実習特定技能
制度の目的国際貢献(日本で習得した技能を母国へ持ち帰ることを想定)人手不足の解消
受け入れ側の対応実習計画の策定、日々の業務の記録などが必要技能実習のような計画策定は前提としない
対象の範囲職種・作業が限定される「耕種農業全般」「畜産農業全般」の2区分
稲作・肉用牛・肉用鶏1年を超える受け入れは不可雇用が可能
在留期間制度上の期間による特定技能1号は通算5年が上限
転職原則として制限される手続きにより同一分野内で可能

技能実習で農業が対象とするのは、耕種では「畑作・野菜」「施設園芸」「果樹」、畜産では「養豚」「養鶏」「酪農」の2職種6作業です。一方で特定技能は業務区分がシンプルで、稲作や肉用牛、肉用鶏の現場でも雇用できる点が実務上の大きな違いです。

※技能実習制度は制度改正(育成就労制度への移行)の対象となっています。最新の制度内容は公的機関の発表をご確認ください。

「技術・人文知識・国際業務」で専門業務に就くケースも

海外の大学を卒業し、学歴や職務内容などの要件を満たす外国人が、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で農業関連の専門業務に従事しているケースもあります。北海道では軽種馬の調教などの分野に多いようです。なお、獣医師として働く場合は、必要な資格要件を別途確認する必要があります。


2. 特定技能を取得する2つのルートと、それぞれの特徴

特定技能の外国人は、技能に関する要件と、所定の日本語能力の要件を満たす必要があります。農業分野では、日本語能力試験N4相当以上と技能試験への合格が求められます。取得ルートは大きく2つあります。

技能実習ルートと試験ルートの違い

ルート概要特徴
技能実習ルート技能実習を良好に修了した人が、試験免除で特定技能へ在留資格を切り替える3年程度の実務経験があり、圃場での作業に慣れている傾向がある
試験ルート技能試験と日本語試験に合格して特定技能の資格を得る日本語の読み書きに強い傾向があるが、実務経験には個人差があり、就業後に経験を積む必要がある

試験ルートが急速に増加している

2025年末時点で、農業分野の特定技能1号37,952人のうち、技能実習ルートは19,356人(約51%)でした。以前は元技能実習生がほとんどでしたが、現在は技能実習ルートと試験ルートがおよそ半々になっています。畜産農業全般では、試験ルートが技能実習ルートを上回っています。

出身国によっても傾向が異なり、試験ルートではインドネシア、技能実習ルートではベトナムが多いとされています。

採用の際は、「即戦力としての現場経験」と「日本語での意思疎通のしやすさ」のどちらを重視するかを整理しておくと、ルートを選びやすくなります。いずれのルートでも、入社後の教育・指導の仕組みが定着を左右します。


3. 農業分野で外国人労働者が増えている理由

人手不足の深刻さは他業種より際立つ

外国人を雇用する理由を尋ねたアンケートでは、「労働力不足の解消・緩和のため」という回答の割合が、農林業で最も高いという結果が示されています。建設業、宿泊業、介護などを上回る水準です。

背景には、次のような農業ならではの事情があります。

  • 1戸あたりの経営規模が拡大している
  • 都市部のように、スポットワーカーを確保しにくい

地域によって、選ばれる制度が異なる

  • 茨城県・熊本県など: 通年で仕事を確保しやすく、技能実習生が多い傾向
  • 北海道: 降雪の影響で通年の実習を前提とする技能実習制度に対応しにくく、特定技能外国人の割合が高い

出身国の多国籍化が進んでいる

出身国は在留資格によって異なります。技能実習ではかつて中国が多かったものの、現在はベトナムが上回っています。特定技能ではインドネシアが最多で、次いでベトナム、そのほかカンボジア、フィリピン、中国などが続きます。今後はウズベキスタン、スリランカ、インドなどからの受け入れも検討されており、さらに多国籍化が進む見通しです。


4. 外国人材の「派遣」は可能?繁閑差の大きい農業の例外措置

特定技能外国人の派遣は、一定の要件を満たす場合に限り、農業分野と漁業分野で認められています。季節による繁閑の差が大きい分野への例外的な措置です。

派遣のしくみとメリット

派遣では、特定技能外国人は派遣事業者に雇用されたまま、さまざまな農業者のもとで働きます。

  • 夏は北海道、冬は九州というように、繁忙期の地域で働く機会が得られ、就労先の選択肢が広がる可能性がある
  • 通年雇用が難しく、外国人材の受け入れを諦めていた耕種農業の事業者も、繁忙期に派遣を受けられる
  • 労働時期の調整を、派遣事業者と相談しながら進められる

派遣を利用する場合も、派遣事業者の要件や契約条件は法令で定められています。制度の詳細は、農林水産省や出入国在留管理庁の公式情報をご確認ください。


5. 2027年4月開始予定の「育成就労制度」で何が変わる?

技能実習制度に代わる新制度として、2027年4月からスタートする予定の育成就労制度が控えています。

目的が「国際貢献」から「人材の育成と確保」へ

技能実習制度は国際貢献を目的とし、外国人は「実習生」という位置づけでした。育成就労制度は、外国人材の育成と確保を目的に、外国人を労働者として受け入れる制度です。

主な変更点

変更点内容
特定技能への移行要件の明確化原則として、技能試験と日本語能力試験(N4以上)に合格するなどの要件を満たす必要がある(※具体的な対象期間や要件は最新の公的情報を確認)
転籍(転職)が可能に一定期間の就労や、技能・日本語能力などの要件を満たした場合に、本人の意向による転籍が認められる仕組みが設けられる

転籍の仕組みは、技能実習で原則として実習実施者の変更が制限され、それが失踪につながる要因のひとつになったとの指摘を受けた制度設計です。今後は、日本語を身につける環境や機会を提供してくれる職場かどうかが、外国人にとって職場選択のポイントになっていく可能性があります。

経過措置と施行前の駆け込み受け入れ

技能実習制度は廃止となりますが、育成就労制度の施行日以降でも、技能実習計画と在留資格認定証明書の交付を受けていて、2027年6月30日までに入国していれば、一定の要件のもとで従来の技能実習を継続できる場合があります。このため、施行前に受け入れを検討する事業者が増える可能性があります。

※経過措置の適用条件は個別の状況で異なります。最新の公的発表をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。


6. 初めて外国人を雇用する際に重要な3つの準備

① 宿舎(寮)の確保

最初に課題になるのが宿舎の確保です。技能実習では、実習実施者が必要に応じて監理団体などの支援を受けながら、関係法令に適合した宿舎を確保する必要があります。育成就労でも同様です。部屋の広さなどにも関係法令や制度上の基準があるため、最新の公的情報を確認してください。

② 指導担当者の選任

外国人従業員を指導する担当者も欠かせません。異文化を理解し、円滑にコミュニケーションを取れるか、作業内容をしっかり伝えられるかを考えて選任しましょう。指導役を任された日本人従業員が、意思疎通がうまくいかずに思い悩むケースもあるとされています。担当者を孤立させない社内体制づくりも重要です。

③ 宗教・文化への配慮

出身国の多国籍化に伴い、宗教的な配慮も必要になっています。たとえばイスラム教徒には、礼拝やラマダン(断食月)の慣習があります。ラマダン中は日中の飲食を断つ人もいるため、屋外作業では熱中症のリスクが高まります。信仰を尊重しつつ、個々の体調を考慮した判断が求められます。


7. 外国人材に長く働いてもらうには「選ばれる職場」を目指す

外国人材に長く働いてもらうには、外国人から「選ばれる職場」になることが大切です。労働環境の整備に加え、キャリアアップの仕組みづくりが重要になります。

賃金・キャリア形成の仕組みづくり

農業分野では、勤務年数に応じた賃金の引き上げやキャリア形成の仕組みが、他の分野より遅れていると指摘されています。

  • 技能実習は基本3年で区切られていたが、育成就労では特定技能との接続が意識される
  • 1年目と5年目のスタッフの給与水準が同じだと、納得感を得にくくなる可能性がある
  • 農業の魅力を伝えつつ、賃金設定などの待遇面も併せて拡充することが欠かせない

これらは離職防止を保証するものではありませんが、定着率の向上につながる可能性のある取り組みです。

中長期の視点で「依存度」も見直す

新型コロナウイルス感染拡大時のように、外国人の入国が制限される事態が再び起きないとは言い切れません。外国人材の受け入れに過度に依存している場合は、将来の人材確保も含めて、持続可能性を検討しておく必要があります。


まとめ:即戦力外国人材の採用と定着なら「スキルディッシュ」がおすすめ

農業分野の外国人雇用は、2025年に特定技能が技能実習を上回り、2027年4月には育成就労制度が始まる予定と、大きな転換点を迎えています。技能実習と特定技能の目的の違い、技能実習ルートと試験ルートの特徴、派遣の活用、育成就労の変更点を押さえたうえで、寮・指導者・宗教への配慮といった受け入れ準備と、賃金やキャリアを含む「選ばれる職場づくり」を進めることが、安定した人材確保への近道となります。

とはいえ、制度の移行期は確認事項が多く、自社だけですべてを整理するのは負担になりがちです。食品・外食・農林水産といった業界特有の事情を理解したパートナーと進めることで、採用から定着までの見通しが立てやすくなります。

💡 スキルディッシュをおすすめする3つの理由

食品業界特化型 外国人材総合支援サービス「スキルディッシュ」は、次の3つの特長で採用担当者や経営者を支援します。

  1. 現場理解・日本語能力を備えた「特定技能」即戦力人材が充実
    現場業務への理解と、一定の日本語能力を備えた特定技能人材の紹介に力を入れており、受け入れ後の早期戦力化が期待できます。
  2. 食品・外食・農林水産などの業界特有の労務・現場条件に精通
    繁閑差、屋外作業、宿舎、宗教・文化への配慮など、業界ならではの課題を踏まえた受け入れ設計を相談できます。
  3. ビザ申請・行政手続きから採用後の定着フォローまでワンストップ支援
    在留資格に関する手続きから、採用後のフォローまでを一貫してサポートする体制を整えています。

※在留資格(ビザ)の申請手続きおよび職業紹介は、法令に基づき許可・届出を受けた事業者・有資格者が実施します。ビザの可否は出入国在留管理庁等の審査機関の判断によるものであり、許可を保証するものではありません。

「特定技能と育成就労、自社にはどちらが合うのか」「繁忙期だけ人手が欲しい」「施行前に受け入れ計画を立てたい」など、採用計画や制度移行に関するお悩みは、ぜひスキルディッシュへお気軽にご相談ください。

参考情報: 農林中金総合研究所「外国人雇用の動向と制度を知っていますか?」(アグリポート/2026年10月1日掲載)、出入国在留管理庁・法務省の公表統計
※最新の制度・要件については、出入国在留管理庁・厚生労働省・農林水産省等の公的発表をご確認ください。

 

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フード採用編集部
食品・飲食・農林水産業界に特化した外国人採用・労務管理の専門メディア編集部。特定技能や育成就労制度の最新動向をはじめ、面接・労働条件説明の実務ノウハウ、助成金活用、入社後の定着支援まで、現場の課題解決に直結する情報を発信。「分かりやすく、実務で使える」をモットーに、企業の人手不足解消と外国人材の活躍をサポートしています。

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