※当サイト「食品業界の外国人採用ナビ」は情報提供および専門事業者のご紹介を目的としたメディアであり、行政書士・弁護士等の有資格機関ではありません。在留資格(ビザ)申請の代理・書類作成・取次および職業紹介そのものは行わず、実際の可否判断は出入国在留管理庁等の審査機関に帰属します。提携先からの掲載料・送客手数料(定額)等により運営されておりますが、契約や手続きは受入企業様と提携事業者間の直接契約となります。詳細は利用規約をご確認ください。
多国籍スタッフで農園が回る?特定技能外国人11人を雇う井内農園に学ぶ定着のコツ
「募集をかけても人が集まらない」「外国人材を採用しても、長く続けてもらえるか不安」。収穫や選別など手作業の多い農業・食品の現場では、こうした悩みが年々大きくなっています。
北海道仁木町でミニトマト・さくらんぼ・ぶどうを栽培する井内農園は、フィリピン・インドネシア・中国と、さまざまな国籍の外国人スタッフが活躍する農園です。繁忙期(3月〜11月)の従業員15人のうち、11人が特定技能外国人という体制で、6年続けて働く人もいます。
この記事では、同農園の取り組みをもとに、次の内容を解説します。
- 特定技能外国人を「多国籍」で雇用するメリット
- 賃金・休日・生活面のサポートで意識したいポイント
- 特定技能2号を見据えた育成と定着の考え方
- 自社に取り入れる際の実務チェックポイントと注意点
1. 井内農園の事例|15人中11人が特定技能外国人
まずは、同農園の概要を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 北海道仁木町 |
| 主な作物 | ミニトマト(売上の約7割)、さくらんぼ、ぶどう |
| 繁忙期の従業員数 | 15人(日本人4人/特定技能外国人11人) |
| 外国人スタッフの国籍 | フィリピン5人、インドネシア4人、中国2人 |
| 主な就業場所 | 65棟のトマトハウス |
| 受け入れの経緯 | 2004年に組合で技能実習生を受け入れ→特定技能制度開始後は2つの事業者の紹介を受けて直接雇用 |
| 特定技能2号の合格者 | 外国人スタッフ11人のうち6人(残り5人も試験に向けて学習中) |
※情報は取材記事(2026年10月1日掲載)に基づきます。
トマトやさくらんぼは機械化が難しく、人手が確保できなければ規模縮小や廃業につながりかねません。同農園が外国人材の受け入れに踏み切った背景には、こうした切実な事情がありました。
さらに、さくらんぼの収穫期には日本人パートも約10人加わります。外国人材と日本人スタッフが役割を分担しながら、現場を支えている構図です。
2. なぜあえて「多国籍」で雇用するのか
同じ国籍のスタッフでまとめたほうが、意思疎通しやすいようにも思えます。それでも井内農園は、あえて多国籍の構成にしています。
日本語で話す機会が自然と増える
過去に中国人実習生だけで構成していた時期には、日本語が得意な人が1人いると、周囲がその人に頼りがちでした。その結果、他のスタッフの日本語の上達が遅くなる傾向があったといいます。
現在はインドネシア人とフィリピン人などが隣り合って作業するため、母国語が通じず、共通語として日本語を使う場面が増えているとのことです。
経験者の戦力化で現場が安定しやすい
特定技能で来日した人の中には、他県のトマト農家で技能実習の経験がある人もおり、作業が速く、病気の兆候にも先に気づくといったケースがあるそうです。また、何年も継続して来ている人が多いため、細かく指示しなくても自発的に動いてもらいやすい点も、経営者にとっての大きな安心材料になっています。
編集部ポイント
国籍を混ぜることが、すべての現場で最適とは限りません。ただし「日本語でやりとりする環境をつくる」という発想は、食品工場・外食・農業の現場でも応用しやすい考え方です。
3. 定着を後押しする「賃金・休日・生活面」の工夫
3-1. 賃金を「見える化」し、継続のモチベーションにつなげる
同農園が参加する仁木町外国人協議会では、基本時給を最低賃金より高めに設定しています。さらに、2年目・3年目と段階的に上がる仕組みを設け、特定技能2号の合格者はより高い水準になるとのことです。
給与体系を開示することで、「来年も来たい」という意欲や、「より多く稼ごう」という前向きな姿勢につながっていると井内さんは語っています。
ここで押さえたいのは、賃金を上げること自体より、「どうすれば上がるのか」が本人に伝わっていることです。ただし、賃金水準や昇給の仕組みは、同等の業務に就く日本人との均衡や、法令・告示への適合も踏まえて設計する必要があります。
3-2. 休日は「自己申告制」で調整
毎日出荷があるトマト栽培では、休みの調整が難しくなりがちです。同農園では、休みたい日をホワイトボードに書き込んでもらい、その内容を見ながら作業スケジュールを組んでいます。
もちろん、休日・勤務日の設定は、労働基準法や雇用契約書・労働条件通知書の内容に沿って運用することが前提です。希望を聞く姿勢と、法令順守の両立がポイントになります。
3-3. 住まいと買い出しなど、生活インフラへの配慮
- 国籍ごとに寮を分けて用意(中国人向け/フィリピン・インドネシア人向け)
- 食事は各自で自炊
- 近隣にスーパーがないため、毎週水曜の終業後にワゴン車で買い出しに同行(隣町のスーパー、生協、ドラッグストア、ホームセンターなど)
- 春先の閑散期には、小樽のディスカウントストアまで足を延ばすことも
地方の農場や工場では、「職場の外での暮らしやすさ」が、働き続けたいかどうかを左右する要素になる傾向があります。買い物や移動の手段を支援する取り組みは、費用以上の安心感につながりやすい施策といえるでしょう。
3-4. 冬期の過ごし方も柔軟に
12月〜3月の冬期は、母国に帰る人もいれば、提携先である福岡県のいちご選果場に移って働く人もいます。一方、インドネシア出身のスタッフからは、家族への送金のために継続的に働きたいという声もあるそうです。
季節性のある事業では、農閑期の就労先や過ごし方をあらかじめ話し合っておくことが、翌シーズンの再来日・再雇用につながるヒントになります。
4. 「叱らない」「公平に接する」マネジメントの考え方
井内さんが特に大切にしているのは、次の2点です。
① 頭ごなしに叱らない
間違いがあったときも、優しくゆっくり説明することを心がけているそうです。日本人でも外国人でも、頭ごなしに叱られれば意欲が下がるという考え方です。
② 全員に公平に接する
取材中、撮影で休憩時間が削られたスタッフには、その分を上乗せして休めるよう声をかけていました。小さな場面でも不公平感をつくらないことが、不満の予防になるという考えです。
一方で、個人の事情や意向を丁寧に聞き、きめ細かく対応することも欠かせません。
「公平」と「個別対応」は両立できます。
ルール(賃金・休憩・評価基準)は全員に同じ基準で適用し、住まい・生活・学習支援などは個々の事情に合わせて調整する。この切り分けが、現場の納得感を高めるコツです。
なお、外国人材とのコミュニケーションでは、「やさしい日本語」の活用や、写真・動画を使ったマニュアル整備なども有効です。

5. 特定技能2号を見据えた育成と、地域農業への視点
井内農園では、外国人スタッフ11人のうち6人がすでに特定技能2号に合格し、残る5人も試験に向けて勉強中です。会話はできても読み書きには苦労するため、過去問題を集め、パソコンを貸与して学習をサポートしています。
特定技能1号と2号の主な違い(概要)
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で上限5年 | 更新に上限なし |
| 家族の帯同 | 原則不可 | 要件を満たす場合に可能 |
| 永住許可申請との関係 | 在留期間に算入されない | 要件を満たせば申請につながる可能性あり |
※対象分野・試験要件・審査基準は変更される場合があります。最新の情報は出入国在留管理庁の公式発表をご確認ください。また、2号への移行や永住許可は、個別の審査によるものであり、許可を保証するものではありません。
井内さんは、2号を取得したスタッフが免許や車を取得し、家族を呼び寄せるための住まいの購入を考えている例も挙げています。住宅探しを手伝うなど、仕事だけでなく生活設計まで伴走する姿勢が、長期的な信頼関係を支えています。
また、井内さんは、後継者不足で農家の減少が進む地域において、外国人材が地域農業の担い手として定着してほしいという思いも語っています。かつて新型コロナウイルスで外国人が入国できなかった年には、収穫が追いつかず収入が大きく減少した経験もあり、外国人スタッフは「地域になくてはならない存在」と位置づけています。
制度移行にも注意
技能実習制度は、育成就労制度へ2027年4月に移行する予定とされています。受け入れ方法や転籍ルール、特定技能への接続などが変わる可能性があるため、中長期の採用計画を立てる際は、制度の動向を継続的に確認しておきましょう。
6. 自社に取り入れたい実務チェックポイント
井内農園の事例から、他の農業・食品製造・外食の現場にも応用できるポイントを整理します。
- 賃金・昇給の基準を明示する(何年目に、どの条件で上がるか)
- 休日・勤務日の希望を聞く仕組みをつくる(ただし労務上のルールは順守)
- 住まい・買い物・移動など、生活面の困りごとを把握する
- 注意・指導は丁寧に、理解度を確認しながら行う
- ルールは公平に、個別事情には柔軟に対応する
- 日本語学習や試験対策を支援する(教材・PC貸与、勉強時間の確保など)
- オフシーズンの就労・帰国の希望を早めに確認する
これらは、離職防止や定着率の向上が「期待できる」施策ですが、効果は職場環境や個人の状況によって異なり、成果を保証するものではありません。
まとめ:即戦力外国人材の採用と定着なら「スキルディッシュ」がおすすめ
井内農園の事例から見えてくるのは、外国人材の定着は「給与」だけでなく、賃金の透明性、公平な接し方、生活面へのきめ細かな配慮、将来設計への伴走といった積み重ねによって支えられているということです。多国籍チームの活用や、特定技能2号を見据えた学習支援も、長期的な戦力化を考えるうえで参考になる取り組みといえるでしょう。
一方で、「どんな人材を、どのルートで採用すべきか」「ビザや手続きは何が必要か」「採用後の定着フォローはどうするか」といった実務面は、自社だけで抱え込むと負担が大きくなりがちです。そんなときは、食品業界に特化した外国人材総合支援サービス「スキルディッシュ」への相談も選択肢のひとつです。
💡 スキルディッシュをおすすめする3つの理由
- 現場理解・日本語能力を備えた「特定技能」即戦力人材が充実
食品・外食・農林水産などの現場で求められる基礎的な知識や日本語力を備えた、特定技能人材との出会いが期待できます。 - 食品・外食・農林水産などの業界特有の労務・現場条件に精通
季節変動、早朝・夜間勤務、寮や生活環境の整備など、業界ならではの条件を踏まえた相談ができます。 - ビザ申請・行政手続きから採用後の定着フォローまでワンストップ支援
在留資格の手続きから入社後のフォローまで、窓口を一本化しやすく、担当者の負担軽減が期待できます。
※在留資格(ビザ)の申請手続きおよび職業紹介は、法令に基づき許可・届出を受けた事業者・有資格者が実施します。ビザの可否は出入国在留管理庁等の審査機関の判断によるものであり、許可を保証するものではありません。
「特定技能人材を採用したいが、何から始めればよいかわからない」「育成就労制度への移行を見据えて採用計画を見直したい」という企業の皆さまは、ぜひお気軽にスキルディッシュへお問い合わせください。貴社の現場に合った採用・定着の進め方を、一緒に整理してみませんか。
【参考・出典】
- 農業・農村情報サイト「アグリポート」特集「外国人と働くこと。」多様な国籍のスタッフが働く農園(2026年10月1日掲載):https://agriport.jp/topics/ap-28347/
- 最新の制度情報は、出入国在留管理庁・厚生労働省・農林水産省などの公的発表をご確認ください。

